やけくそのユーモア

こんにちは!たぬきちです。

今日は、たぬきちの命を何度も救ってくれた「やけくそのユーモア」についてです!

人は誰でも、必ずドン底と思える状況を経験すると思います。

たぬきちの最初のドン底は2014年、アレルギー最盛期の頃です。

全身に広がった湿疹と紅斑の痒みで、一睡もできない日々が続いていました。

布団は血と体液で独特の臭いを放っていました。

体は限界なのに眠れないので、金縛りのような状態に。

動きたくても動けない、目も開けられない、声も出ない、暗闇の中で周囲がすごいスピードでぐるぐる回って、上も下も、右も左も分からなくなり、ものすごく気持ちが悪い・・・助けて・・・!!

いつまでこんな日が続くのか。

しばらくしてようやく目が開き、勢いよく息を吸い込むと窓をがっと開けて、当時一人暮らしをしていたマンションの4階から大きく身を乗り出しました。

すると次の瞬間、近くの運送会社の集積場で働いている人たちが目に入ってきました。

多分、夜中~朝方の時間だったと思います。

この時間にこんなにそばで働いている人たちがいるとは知りませんでした。

荷物を運んで、並べて、トラックに積んで・・・。

テキパキと動く人たち。

積み込まれてゆく荷物たち。

整然と並んだトラックたち。

見ていると、不思議と心が落ち着いてきました。

夜風に吹かれながら正気に戻ってゆくのが気持ちよかったです。

次の日も、窓を開けて、集積場を眺める。

その次の日も、またその次の日も・・・。

そうしているうちに、少しずつ落ち着いてゆきました。

でも、状況は何も変わらず、ドン底のまま。

その時ふと、ぐちゃぐちゃの手にはめた白い手袋に目がとまりました。

全身鏡の前に立って、腕を広げ、手の平を前に向ける。

肩をすくめて手の平を前方に押し出し、首を傾げる。

ミッキーマウスのポーズ。

鏡に映った自分を見てにやりと笑いました。

それから何年も経って、ヴィクトール・E・フランクルさんの『夜と霧』という本を読みました。

著者はユダヤ人で、収容所に入れられ、壮絶な経験をします。

生命がただならぬ状態におかれた時、彼に思いもよらない感情がこみあげました。

それが、「やけくそのユーモア」でした。

全てを奪われ素っ裸で押し込められ、シャワーの水がふりそそぐ間、冗談を言い合い、自分自身を、そしておたがいを笑い飛ばそうと躍起になった。

まさに、ドン底で発揮される人間の能力。

生き延びるために発動される何かが、私にミッキーマウスをさせたのかもしれません。

もうダメだ・・・。

そう思ったら、服をぬぎ、素っ裸になって「ヤッター!!!」と叫びながら部屋を跳ね回る。

やけくそのユーモア。

効果は保証します。

くれぐれも、窓は閉めておいてくださいね。笑